とくめいくみあい
組合という表現は、多くの人間が特定の目的のために集まっているという印象を与える。ところが、匿名組合とはそんな組合とは似ても似つかないもので、法律上は、出資をする組合員と、出資を受けて、その資金で稼ごうとする営業者との一対一契約である。しかも、組合としての行動すらなく、事業は営業者の名で行われる。つまり、融資や株式などの変形でしかない。匿名組合を用いたファンドが存在するが、これは、営業者が多くの匿名組合員と一対一契約を結んでいるだけで、組合員間には何の関係も存在しない。一方、任意組合というのは、われわれが通常想定する組合の態をなしていて、多くの当事者が集まっている。当事者の数が何人いても、ひとつの組合契約に基づいてもいる。なお、任意組合は無限責任、つまり、組合員は組合の借金返済をしなくてはならない一方、匿名組合では、出資以上の追加負担をしない特約を結ぶことも可能である。無限責任は資金が集まりにくい場合があるので、任意組合に有限責任を導したのが投資事業有限責任組合であり、また、日本版LLPと呼ばれる、有限責任事業組合である。組合の債権者からすると、組合の債務を組合員が払わない場合がある特殊な組合であるため、どちらも登記が必要となる。
組合という名称にも関わらず匿名組合は団体ではなく、法的には営業者の単独企業である。よって匿名組合員の出資は営業者の財産になり(536条1項)、匿名組合員は営業者の行為について第三者に対して権利義務を有しない(同条2項、なお民法675条と対照)。その反面として、匿名組合員がその氏若しくは氏名を営業者の商号中に用い、又はその商号を営業者の商号として用いることを許諾したときは、その使用以後に生じた債務について、営業者と連帯して履行する責任を負う(537条)。
こうしたことから、匿名組合員は、営業者の行為に関する権利義務関係の名宛人とならず、一般には営業者の商号にもその名前が顕れないので、「匿名」と呼ばれるわけである。
また、匿名組合契約に基づく損益は、匿名組合員に全て分配することが出来るため(ただし、損失分配時は税務上は出資額を限度とする)、導管体として利用価値が高く、しばしば特別目的会社(SPC)と投資家との間において利用されることがある。(この場合、SPCを営業者、投資家を匿名組合員とする)
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